高知市「さくらカフェ」参加レポート
坂本龍馬像でおなじみの桂浜に近い、高知市南部の長浜地区で開催されている「さくらカフェ」に参加させていただきました。
会場となっているのは「お遍路ハウス33」という素敵なゲストハウスです。四国八十八箇所霊場の、33番札所・雪蹊寺に近いことから名付けられました。
もともとこちらは小桜典子さんという方の義理のお母様が暮らす家でした。2014年ごろから認知症の気配が強まったお義母さまは、次第に「片付けられなさ」が募ってきたそうです。やがて足の踏み場もないような、いわゆる「ゴミ屋敷」化してしまい、ボヤ騒ぎが起きるなど深刻化したため、典子さんは意を決します。病院での認知症診断、介護保険の申請、ケア付き施設への転居準備、そして家の清掃・リフォームと、家族の了解を取り付けながら一気に進めていきました。
当初から、雪蹊寺に近いこの家をお遍路さんに「ご奉仕」できる場にすることは典子さんの考えにあったそうです。そのアイデアが理想的な形で実現したのは、感性の近い建築家との出会いがあったことによります。高知市内でその建築家が手がけたナチュラル系のカフェやベーカリーは、知らず知らず典子さんのお気に入りのお店でもあったそうです。
そしてカフェ風に生まれ変わった家を見て、典子さんはいつか新聞記事で見た認知症カフェという取組みに使えるのではないかと考えます。お義母さまのケアマネを通じて行政に提案したところ、まさに市南部で認知症カフェの開催場所を探していたというタイミングだったそうです。
そこからは地域の介護施設や専門職の協力を得て、認知症カフェの準備、オープンへとあっという間でした。
毎月第2水曜の「さくらカフェ」の日は、典子さんのお義母さまの帰宅日にもなっています。ご近所さんの中には、この日にお義母さまに会うことを楽しみにしてカフェに来る方もいるそうです。
持ち回りで担当するスタッフによって内容は変わるそうですが、「さくらカフェ」の前半は笑いヨガや音楽療法など介護予防活動が中心になり、後半はお茶とお菓子を楽しむ時間になります。今回は一人の方の個人史にスポットを当てた「パーソナルソング」という回想法的プログラムと、後半はホットプレートを用意してのどら焼き作りで楽しみました。
かつて「ゴミ屋敷」となっていた家が、今では家主も含め、たくさんの人が笑顔で集まる場所になっているのは、実に幸福なストーリーです。認知症カフェが認知症の疾病観をも変える可能性があるとされるのは、まさにこういうことなのかもしれません。
「さくらカフェ」
開催日時:第2水曜、13時から15時
開催場所:高知市長浜4719-1 お遍路ハウス33
参加費:100円
連絡先:088-841-5755
お遍路ハウス33
- 2018.02.23 Friday
- 高知
- 01:30
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- by コスガ聡一