『オオカミの護符』と土橋カフェ

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     町内会が主催し、毎回何十人もの参加者があるという、全国的にも有名な認知症カフェ「土橋カフェ」について調べているうちに、この本と出会いました。

     

    小倉美惠子著『オオカミの護符』新潮社

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     本書は「講」について書かれたドキュメンタリーです。「講」とは、かつて日本の津々浦々に存在した宗教結社のことで、大規模なものとしては各地に富士塚を残した「富士講」、爆発的なお蔭参りブームを生み出した「伊勢講」、夜通し行われた「庚申講」などが知られます。そして本書で取り上げられるのは奥多摩の御岳山を信仰の対象とする「御嶽講」です。
     著者である小倉美惠子は、川崎の旧家である自身の実家に貼られていた「犬」の絵の呪符に関心を持ち、調査をはじめました。そしてその謎の呪符が「御嶽講」と関係があることがわかると、小倉はいまだに集落で続いていた講の場に動画のカメラを携えて列席します。本書は、小倉がプロデューサーとして手がけた同名の映画作品『オオカミの護符』を製作していく過程を記した書籍でもあります。奥多摩、秩父への時空を飛び越えるような旅を経て、東京という街の地層の下に眠る「武蔵国」を発掘していくような読書体験は、かつて多摩地区に暮らした者のひとりとして大変エキサイティングでした。
     小倉美惠子が列席した「御嶽講」の行われている場所こそ、川崎市宮前区の土橋会館であり「土橋カフェ」の開催場所でもあります。実は土橋町内会誌によると、この土橋会館の建つ土地はかつて神社があった場所(明治時代に現在の土橋神社に習合された)なのだそうです。土橋会館に小さな神輿が置かれているのも、御嶽講などの行事が行われているのも、そうした由来によると想像されます。大盛況の認知症カフェとして「土橋カフェ」が新聞やテレビで取り上げられる際、町内会が主催していることに触れることがあっても、その町内会が江戸時代以前からの共同体の文化(土橋会館の目の前からは縄文後期の遺跡が出ている)を継承していることはほとんど知られていません。
     「土橋カフェ」という成功例が示唆するのは、神社の氏子集団やお寺の檀家集団や様々な伝統行事に関する団体でも適切にアップデートされれば、地域包括ケアシステムの構成要員して組み込むことが可能であり有効であるということだと思います。そういった可能性を考え、伝えていくのも自分のようなフリーランスの役割かなと感じています。

     


    「土橋カフェ」

    開催日時:第1水曜、13時30分から16時30分

    開催場所:川崎市宮前区土橋2-13-2 土橋会館

     

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